
2011年の東日本大震災では、地震の被害はもちろんですが、その後の津波によって沿岸部が大きな被害を受けたことは私たちの記憶に新しいところです。想像を超えた規模で押し寄せる津波によって多くのものが流され、中でも車がまるで浮き輪のように流されてゆく映像が忘れられないという人は少なくないことでしょう。2階以上の複層階で構成される自走式駐車場は、ショッピングモールやスーパーマーケットなどのように不特定多数の大勢の人が利用する場所に作られるもので、運転者が目的の階まで自分自身で車を運転して駐車するものです。現在国土交通大臣認定の自走式立体駐車場となるためには、外壁を設けない構造であることが求められます。
これは本来は火災が発生したときにフラッシュオーバーを起こすのを予防することが目的で定められたものですが、この外壁を設けない構造という特徴によって津波の強大な力を受け流しやすく、被害を最小限に食い止めることができたことが判明しました。このことから東日本大震災のような巨大津波が発生したときに、広い面積を持つ自走式立体駐車場は避難場所としての役割が期待されるようになりました。その後国土交通大臣認定の自走式立体駐車場を津波避難ビルとして指定することが可能となり、その利便性だけでなく安全性にも注目される存在になっています。災害の多い日本において、自走式立体駐車場は多くの車と人を同時に災害から守ることのできる場所として、利便性だけでなくその安全性にも大いに期待されています。
No comment yet, add your voice below!